桜下古事記

物言わぬうちを、懇願の表情で見上げる女の目には、うっすらと涙が溜っとって‥ 　ホンマ‥‥健気やねぇ　　うちは神様でも仏様でもないさかい、先の事は分からへん　せやけど、一緒に信じてあげる事なら出来る　　そーゆー意味を込めて、ちと枝を揺らして花びら散らしたら、女はえらい喜んで、また来るゆーて帰って行った　　　次に来たんは‥ 男が旅立ってから、丁度一月程経った頃やったやろか？

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