九章 悲劇の魔王

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  まゆり「完全究極体…?」 ハンス「如何なる破壊的な力、異質な能力、怪異的な魔力を体内に吸収しようと成し得ない力。天に愛された者のみに許される無にする力。長年に渡り私が欲した唯一の属性…『無』」 ダンテ「姉貴な兄貴まで…てめぇにとってはただの実験体だったってことかよ…?」 ハンス「怒りでも湧いたか?バジルもいろいろと面倒なことをしていたようだ。私の手伝いを大人しくしていれば…願いくらい叶えたものを」 ダンテの体が身震いする。 ダンテ「姉貴や兄貴まで巻き込んで…作りたかったのは俺たったひとりか…?そのタメだけに…」 ハンス「バジルにはお前の監視をさせていた。アンナにはお前の育成をさせた。そういうことではふたりに感謝せねばなるまいな」 ダンテ「我慢ならなくなってきた…。何時てめぇに襲い掛かるか分かったもんじゃねぇ…」 ハンス「まったく、野蛮な子に育ったものだな。父さんは悲しいぞダンテ」 まゆり「白々しくダンテの名前を呼ぶなバカ者!貴様などダンテの父親なんかじゃないのだ!」 ハンス「認めざるを得ないだろう。それにしても、愉快に育ったものだ。よもや、『和』属性という新しい極地までも見いだせるとは感無量だな」 ハンスは手にしていた地球の模型を握り潰す。 ハンス「『絶対戦神具』、『魔眼』、『無』そして『和』。魅力的に育ったものだ。なおさら…私の力にしたいと思える」 ダンテ「誰がてめぇなんかの力になるかよ。てめぇは知らないだろうが兄貴は…俺のタメに強くしてくれたんだ…」 ダンテの顔が黒い髑髏の仮面で覆われる。 ダンテ「許さねぇー…。母さんや姉貴や兄貴まで侮辱した…てめぇを絶対に俺は許さねぇー…!」 ハンス「唯一の痛手はあの剣だな。まさか消えてしまうとは非常に残念でならない。私なら心身共に愛する自信があるぞ?」 ダンテ「てめぇに…サクラの何が分かるって言うんだ…!?分かったような口を叩くんじゃねぇ…!」 ハンス「やる気満々だな?良いだろう。私が直々にお前の体を奪うことにするとしよう。亜全能剣…」 ダンテ「複製…」 ハンスの手に光りが集まる。 ダンテの手に光りが集まる。 ハンス「『神皇帝の裂剣』」 ダンテ「『絶離の邪神剣』」  
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