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「ただいまぁ」
「お帰り。やっぱり早いわね。部活入ればいいのに」
「遠慮。部活入ったら泰介との約束破ってしまう」
「へんな約束したんやね」
テレビを付けようと思いリモコンを取ろうと手を伸ばしたら、リモコンを別の手によってとられた。
大介だ。正確に言うと多田大介。
洋介の父だ。
「へへ。いただき」
多田家ではリモコンを取った者がテレビの主導権を握る。
「クソっ。またやられた」
「さて、サッカーでも見るか」
「またかよ」
多田家では父のみサッカー好きでやスポーツ好きで、洋介達に関してはまったく興味が無い。
オリンピックで全国が燃えていたけれど、多田家では大介のみが燃えていた。
「……。サッカー日本対カイオルアウフとの対決でしたが、緊急ニュースとしてサッカーの試合中継を中止し王室のニュースに番組を変更させていただきます」
大介はその瞬間リモコンを落とした。
その瞬間を洋介は見逃さなかった。
「ヨッシャー。ゲッツ」
「お前卑怯だな。それに古いぞ」
「卑怯じゃないし、…古いかも」
洋介はテレビの番組を変えた。
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