Peace

10/21
前へ
/58ページ
次へ
2号館、二階にある2年7組。 その教室の中にいる生徒達の会話の内容は、やはり【例の事件】についてだった。 ある生徒達は犯人を推測し合い、ある生徒達は星辰高校は大丈夫かな?と心配している。 そんな教室のベランダに三人の生徒の姿があった。 一人は手すりにもたれかかり、教室の方を向きながら前髪を弄っている春希 もう一人は髪がえり首の辺まで伸びているいわゆるボブで、何だか猫っぽい顔をしている美月。 そして三人目は 明るめのブラウンの髪を後ろで赤いヘアバンドで括っている、なかなか目付きの悪い少年 蓮条 恭弥 (れんじょう きょうや)だった。 この三人の会話の内容も、例に洩れずあの話題に関してだった。 「なあ、恭弥は何であの事件の犯人が捕まらねえと思う?」 俺がそう問い掛けると、恭弥は軽く息を吐いて 「…分からない」 と一言だけ呟いた。 「だよなぁ… 警察が分からない事がただの高校生に分かれば苦労しないよな」 そう言って俺は大袈裟にため息をついた。 「だけど…不自然な点はいくつかある」
/58ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加