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恭弥のその言葉を聞いて、俺は思わずもたれかかっていた手すりからずれ落ちてしまった。
「な、何だよ?その不自然な点って?」
俺はすぐに体を元に戻し、前に向けていた顔を恭弥の方に持っていった。
「恭弥君何か分かったの?」
俺の隣に立っていた美月も、好奇心を如実に表した表情を恭弥の方に向けた。
恭弥は何だか言ったことを後悔しているみたいだったが、視線をグラウンドの方に向けたまま喋りだした。
「まあ…どうせいつかニュースで知ることになるだろうから言うけど。
襲撃された高校の生徒が全員死んでたって言うのは知ってるだろ?」
…そう、恭弥の言うとおり襲撃された高校の全校生徒は全員その命を奪われていた。
一番最初の事件が起こったときのニュースでその衝撃的な事実を突きつけられたときは、流石に信じられなかったけど…
二件目、三件目と事件が続くごとに放送されるニュースでそれが真実であることは信じざるを得なくなってしまった。
恭弥の言葉に頷く俺と美月。
それに気づいたかは分からないが、恭弥は話を続けた。
「春希は知ってると思うけど俺の親父は警察官なんだよ。でだ、その親父が昨日仕事から帰ってきた時言ったんだ。いや、つい零した独り言を俺が聞いてしまったって感じかな?」
「何を聞いたんだ…?」
「親父が帰ってきたときはもう深夜だった。多分昨日の事件が起こったから帰りが遅かったんだろうな…
捜査詰めで疲れてたのか分かんねえけどリビングのソファに座ってビール飲んだ後こう漏らしたんだ。
【なんでまた生徒の数が足りないんだ…】ってな」
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