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「生徒の数が足りない…ってどういう事だよ?」
俺は恭弥の言っている意味がよく分からなかった。
「……要するに、ニュースで報道されてる内容は間違ってるって事だ。
簡単に言うと、何百人もの生徒が死んでる中で生き残っている生徒がいるってことだよ。」
「じゃあ生徒の数が足りないっていうのは…」
「そう、襲撃された高校で見つかった死体の数が全校生徒の人数とぴったり合わなかったって事だろうな」
恭弥は震える声で話す美月の質問にそう答えた。
「さらにだ、親父はこう言った。【何で”また”生徒の数が足りないんだ】この意味が分かるか?」
恭弥は視線だけ俺の方に向けてそう言った。
俺は少しの間、その言葉を脳内で反芻した後、答えた。
「つまり、今回だけじゃなくて今までの事件で犠牲になった高校にも生き残りがいるってことか…?」
「そう、まあ可能性の話だけどな」
そう言って視線をまたグラウンドに向ける恭弥。
「でも何で…?もしかしたらその日に学校を欠席した生徒の分が足りないだけかもしれないよ?
それに、それが本当なら何でニュースで本当のことを言わないの?」
納得がいかないのか、美月は反論するように恭弥に言った。
「さあな…警察がマスコミに伝えてないのか、それともマスコミが知っているにも関わらず報道しないのか。
それは分からねえよ」
そう言うと、恭弥はもうこの話は終わりだとでも言うようにあくびをした。
(まあ…気になることはもう一つあるんだけどな)
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