1276人が本棚に入れています
本棚に追加
/268ページ
「レイ、頼む。」
俺の言葉にレイは頷き、その右手を俺の額にかざした。
俺の額に埋め込まれた石が光り出した。
意識を集中させる…
ん?…
黙り込んだ俺にレイが声をかけた。
「裕太くん?どうしたの?」
俺にも分からない。
「匂いが…ないんだ。」
「えっ?」
正確には全く匂いがないわけではない。
「複数の人間の匂いが残ってる。かなり古いのもある。新しい匂いは多分この家を片付けた人…家族かも知れないし、もしもここが借家なら大家さんとか、いずれにしても長い期間ここにいたという匂いじゃない。」
「じゃあ八代今日子さんの匂いはないの?」
レイからいつもの笑顔が消えていた。
「ああ…わけわかんねーけどな。」
ダンボールの中はおそらく衣類なんかもあるはずだ。
その布の匂いはわかるが人の匂いは全く感じない…
「帰ってクソおやじに相談してみるか…」
最初のコメントを投稿しよう!