尋ね人

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「レイ、頼む。」 俺の言葉にレイは頷き、その右手を俺の額にかざした。 俺の額に埋め込まれた石が光り出した。 意識を集中させる… ん?… 黙り込んだ俺にレイが声をかけた。 「裕太くん?どうしたの?」 俺にも分からない。 「匂いが…ないんだ。」 「えっ?」 正確には全く匂いがないわけではない。 「複数の人間の匂いが残ってる。かなり古いのもある。新しい匂いは多分この家を片付けた人…家族かも知れないし、もしもここが借家なら大家さんとか、いずれにしても長い期間ここにいたという匂いじゃない。」 「じゃあ八代今日子さんの匂いはないの?」 レイからいつもの笑顔が消えていた。 「ああ…わけわかんねーけどな。」 ダンボールの中はおそらく衣類なんかもあるはずだ。 その布の匂いはわかるが人の匂いは全く感じない… 「帰ってクソおやじに相談してみるか…」
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