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「え?」
レイは俺の言葉がすぐには理解できなかった。
「裕太くん、今…何て?」
「八代今日子はレイの母親だ…このアルバムの写真はレイ、おまえなんだ。」
「うそ…」
レイは固まったままで俺を見ていた。
「昨日…匂いがないといったが、そうではなくて八代今日子の匂いとレイの匂いが重なっていたんだ…俺はそれをレイだけの匂いだと勘違いしたんだ。」
「…」
「この家の匂いはレイと同じ…優しくて心地よくて、俺を包み込んでくれてる。」
「ゆ…」
レイが震えている。
「裕太くん…裕太くんっ!それ本当?本当にあの…八代今日子さんが私のお母さんなのっ?」
「クソおやじからの伝言…思い出してみ。」
「あ…」
レイの大きな目から涙が溢れてきた。
「おかあさん…」
涙が止まらない。
レイは俺を抱きしめた。
「裕太くんっ!おかあさんにっ!やっと会えたのに何で?何で死んじゃったのっ!なんで私はおかあさんを二人も…」
泣きじゃくるレイの顔に俺は鼻を近づけた。
「生きてるよ。」
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