終わりは始まり

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しばらくして女の子が母親に連れられて戻って来た。 腕に包帯をしてるけどかすり傷程度だと母親が守衛のおっさんに話していた。 俺たちはタクシーで女の子の家に行った....いや、帰った。 家の前には数台の車とカメラやマイクを持った大勢の人間がいた。 報道陣?なんで? 「あっ今戻られたようです。お嬢さん、ちょっとお話を伺ってもよろしいですか?」 「あなたを助けた若者が亡くなった事はご存知ですか?」 女の子の顔が真っ青になったのが分かった。 体が小刻みに震えている。 「彼とは全くの初対面、赤の他人だそうですが?」 「勇気ある青年についてコメントを!」 「今のお気持ちをひとことお願いします!」 彼って....俺? そうか.... この子は俺が助けた事で、重たいもんを背負っちまったんだ.... 俺が生きていれば良かったんだ。 この子、こんなに震えて.... ・・・・ それをなんだよこいつらは? すげームカつく。 「てめーらっ!うるせーっ!この子の様子見ればどれだけ参ってるかわかんだろっ!俺は何も気にしてねーよっ!てめーらの視聴率稼ぎのために人を見せ物にするんじゃねーぞっ!帰れっ!」 と、まくしたてたが.... 「ウ~ワンワンッ!」 当然か、犬だもん俺。 「あっ!このワンちゃんです!一緒に命を救われたワンちゃんです!」 ・・・・ダメだ、こいつら。    
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