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「と、トンネル?」
「ここも昔は裕太クンの想像通りの川だったんだって。でも温暖化の影響かなぁ....水位がだんだん上がってきてね....」
「はあ....」
「2年前のある日....」
レイは涙声になった。
「レイちゃ~ん!泣かないで~っ!」
おまえらウザい....
「みんな!ありがとう!レイ大丈夫だからねっ!」
「あの....それで?」
「あ、ゴメンね。2年前のある日、突然の鉄砲水で何人も流されちゃったの…」
鉄砲水って....
流されたって....
どこへだよっ!?
「それでね、みんなの安全のために川の底にトンネルを作ったの。」
死人の安全ってのもわかんねーけど....まいっか。
「じゃあ本題に入るね。天国コースの裕太クンにお知らせしまーす。」
て、天国コース?
「このままここで待っていればあなたは天国に行けます。」
「はあ....」
「ただ、申し訳ないんだけど今の時点で天国は満員なの。」
満員って天国に定員とかあんのかよ?
コホンと小さく咳払いをしてレイは続けた。
「ここ数年来増加傾向にある殺人事件や若者の自殺などから天国コースが急激な伸びを見せ、ついに満員状態になってしまいました。私共といたしましても皆様方に快適な天国ライフを供給すべく現在増設工事を進行中です。しかしながら用地買収や地域住民に対する説明会開催などで予定よりも着工が遅れ、未だに基礎工事の段階です。」
「レイちゃ~ん!」
拍手だ....
「レイ、今日は上手に言えたよーっ!」
何かだんだん腹が立って来た....けど。
「でね、裕太クン」
・・・・可愛いから許す。
「ここで待っててもつまんないでしょ?」
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