今の自分にできる事

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「さて、帰って洗濯でもするか…母さんにばかり無理はさせられんしな。」 老人は野菜の入ったダンボールを抱えて歩き始めた。 「じゃあな、チビ。明日もここにいたら俺が拾ってやるからな。」 レイは老人が去って行くのをずっと見ていた。 「優しいじいちゃんだな。」 「うん…ごめんね裕太くん、みっともないところ見せちゃって。」 レイはかなり落ち着いたようだった。 「おかあさん、私が生きてるって思ってるよね?…」 部屋の中で静かな寝息を立てる母親を見つめて呟いた。 「そうだな…」 「やっと会えたのに私、おかあさんに何もしてあげられない…」 「レイ、じいちゃんを見てわかんねーか?」 俺はレイを見上げた。 「おまえのじいちゃん、今から洗濯するっていってたろ?」 「うん…」 「さっきまで畑で野菜収穫してたろ?」 「うん…」 「ばあちゃんが母さんのそばにいるから、じいちゃんはばあちゃんの代わりに自分のできる事をやってんじゃねーか?」
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