Snow Dance

3/18
前へ
/37ページ
次へ
  玉砕なんて覚悟の上。 でも、もう。 伝えずにはいられなかった。 悩んで──悩んで──今まで生きて来た、それこそ16年間分悩んで── ここまで、来たんだから。 しっかりね、と。 最後にぽんと背中を押してくれた『親友』の、手の力が蘇る。 そっと、色鮮やかな包装紙でくるんだ小さなオクリモノを、指で辿った。 ちらちらと揺れるリボンのその上にも、音も無く白い雪が降りしきる。 『彼』が判で押したように、この道をこの時間通るのは…頼りがいのある『親友』が、教えてくれていた。 ちらりと腕時計を、確かめる。 後、5分。 『言葉悪いけど、待ち伏せしてたらきっと会えると思うから』 彼女の言葉が脳裏を霞め、急激に心臓がばくばくと煩く唸り始め、あたしはもう一度深呼吸をする。 にっこりウィンクして、送り出してくれた、『親友』。 『──頑張ってね、ユズノ!』 もう逃げないって、決めたんだから。 ここでキメないで、どうするの…? 後戻りは、 もう、出来ない。 不意に話し声が聞こえた気がして、耳を澄ます。 何処に居ても、どんな雑踏の中でも聞き分けられる筈の── 『彼』の、声がした。  
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

250人が本棚に入れています
本棚に追加