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玉砕なんて覚悟の上。
でも、もう。
伝えずにはいられなかった。
悩んで──悩んで──今まで生きて来た、それこそ16年間分悩んで──
ここまで、来たんだから。
しっかりね、と。
最後にぽんと背中を押してくれた『親友』の、手の力が蘇る。
そっと、色鮮やかな包装紙でくるんだ小さなオクリモノを、指で辿った。
ちらちらと揺れるリボンのその上にも、音も無く白い雪が降りしきる。
『彼』が判で押したように、この道をこの時間通るのは…頼りがいのある『親友』が、教えてくれていた。
ちらりと腕時計を、確かめる。
後、5分。
『言葉悪いけど、待ち伏せしてたらきっと会えると思うから』
彼女の言葉が脳裏を霞め、急激に心臓がばくばくと煩く唸り始め、あたしはもう一度深呼吸をする。
にっこりウィンクして、送り出してくれた、『親友』。
『──頑張ってね、ユズノ!』
もう逃げないって、決めたんだから。
ここでキメないで、どうするの…?
後戻りは、
もう、出来ない。
不意に話し声が聞こえた気がして、耳を澄ます。
何処に居ても、どんな雑踏の中でも聞き分けられる筈の──
『彼』の、声がした。
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