2573人が本棚に入れています
本棚に追加
/292ページ
『愛してる』
春央はまさかこの言葉で彼女と別れる事になるとは思わなかった。
真剣に言ったのだが、それがいけなかった。
彼女と出会ったのは合コンで、春央は同じ高校だったが今は同じ大学でも他の学部の先輩に誘われて参加した。
春央は楽しくお酒を飲むのは好きだ。
男同士で飲むのも好きだが、花があればあったでなお良い。
お約束の自己紹介になって先輩の横にいた春央に順番が回ってきた。
「皆川 春央。医学部2年20歳でーす」
春央が抑揚のない言葉で言うと、女の子達はキャッキャッしながら笑った。
「うっそぉ~」
「信じらんない」
いつもと同じ反応だ。
大学でも最高峰の医学部で、偏差値75以上でなければ受かる事のない学部である。
その上受験より入ってからの勉強の方が大変で、留年する者さえ少なくないのだ。
なのにドレッドのハーフアップに、服装もお洒落でいかにも遊んでそうな芸能人ぽくて、とてもハイレベルな医学部を現役一発合格したようには見えないほど派手ななりをしている。
そんな春央に女の子が不審そうな目を向けると、春央はいつも同じセリフを言って女の子を和ませた。
最初のコメントを投稿しよう!