16人が本棚に入れています
本棚に追加
「ここで休んでいてください、私はちょっと町を散策してみます」
僕をベンチに座らせ、マリアンヌはどこかへ行ってしまった
「はあ…なんだったんだ…本当に…」
『…き………て………早く来て……早く……私の所へ』
「!?」
また誰かの声
さっきと同じ
アリスとも白ウサギとも違う…誰かの声
「誰なんだ…君は…」
『…フフ、こんにちは…でも残念…私のことは教えてあげなぁい…私は私…貴方はヴァン』
「な、んで…僕の名前……!?」
『言ったでしょう?何にも教えてあげなぁい…』
なんだかイヤだ…
なんなんだ、この声は
僕はただ蹲って耐えた
囁く不気味な声に…
早く出たい
こんな世界から
帰りたい
元の世界に…
*
「…少年はアノ子の“大切なモノ”を探してフローチャートに到着しました」
『ウフフ、知っているわ』
「…貴女は少年に意地悪をしましたね?私はずっと少年を見ていましたよ」
『フフ、いいじゃないの…ただの挨拶よ』
「…挨拶…ですか、全く貴女には困ったものです」
『アハハ、多少は許容範囲でしょう?』
「…まぁ、確かにそうですが…」
『ならいいじゃないの…』
先程ヴァンに聞こえていた声が、ヴァンを見ている怪しい影と話をしているようだ
「……ところで、どうなさるおつもりですか?」
『お前はそのまま尾行を続けろ、いいな?』
「…はい」
ベンチに蹲っているヴァンを見ながら怪しい影はそういった
怪しい影はテレパシーを使っているようで、怪しい影と話していたらしき人物は傍にはいない
怪しい影はその後もずっとヴァンを見ていた
ヴァンはそんなことにも気づかず、ただベンチに蹲っていた
最初のコメントを投稿しよう!