-序章-

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真っ白なウサギの人形が僕に向かって話しかけてくる 「ねえ、行ってみたくはないかい?人形の世界に…」 「人形の…世界?」 「そう、人形の世界…きっと楽しいよ、きっと好きになるよ」 白ウサギの人形はなおも僕に語り掛けてくる (これは夢…?) 「夢じゃないよ」 「!?(この人形、僕の心が詠めるのか?)」 「詠めるよ」 「な、…なんで…」 人形が喋る時点でも十分驚きだが、僕の心が詠めると知って僕はもっと驚いた 僕が硬直していると、白ウサギの人形がピョンと跳ねて僕に近づき、また話しかけてくる 「ねぇ、行く?行かない?」 白ウサギの真っ赤な目が僕を見つめる 僕は白ウサギの目から目が反らせなかった 「もう一度聞くよ、行く?行かない?」 「…………………行く…」 「…そっか、行くんだね」 「う、うん…」 僕が小さな声で返事をすると、白ウサギは僕をもう一度見つめた そして… 「じゃあ墜としてあげる」 といってニヤリと笑った 「!?」 僕はあまりの出来事に心臓が飛び出すかと思った 白ウサギの笑い方は実にグロテスクだったのだ 「や、やっぱり待って!やめる!行きたくない!!」 「…ダァメ、もう遅いよ」 白ウサギがパチンと指をならすと、僕の座っていた床から鎖が出てきた  
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