-序章-

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「…コノ世界ニ時間ハ関係ナイヨ」 「へ?」 「コノ世界デハ時間ガ入リ組ンデイルンダヨ、ダカラ時間ハ関係ナイヨ」 「…そ、うなのか?」 「ソウダヨ」 そういうとフランス人形はスー…っと僕の前を僕を導くように飛んだ 「ちょ、どこに行くの?」 「アノ子ノトコロダヨ」 「…アノ子?」 僕が尋ねても、フランス人形は答えなかった 『ウフフ…』 「!?」 「ア、アノ子ノ声ダワ」 「だからアノ子って誰?」 「アノ子ハアノ子ダヨ」 人形は少しスピードを上げながら飛んだ 僕は人形を追うために走る 「モウスグダヨ」 「な、何が…?」 走っているせいで、僕の息はあがっている 「モウスグアノ子ニ会エルヨ」 全く、可笑しな話だとは自分でも思う 突然見知らぬ世界に連れて来られて、その上その世界で出会ったフランス人形についていく (それにしても…不気味な世界だ…) 僕がそう思うのも無理はないと思う なぜならこの世界は人形の世界といいながらも、世界の背景的にはそれほどメルヘンではない いや…メルヘンといえばメルヘンなのだが… 蝋燭やリボン、プレゼントの箱、椅子、机、家の中にありそうな家具が空中に浮いていたり ぐにゃぐにゃと形がいびつな建物があったりと メルヘンなような…そうでないような… なんだか言葉では説明しずらいようなカンジなのだ 『ウフフ…もうすぐ…もうすぐ会えるわ』 またどこからともなく声が聞こえてきた 「ア、アノ子ダワ」 フランス人形が指さした方向はなぜか白銀に光っていた 「あら、来たのね」 白銀の光からは少女らしき声が聞こえた さっき聞こえた声と一緒だ 「連レテ来タヨ、アリス」 「ありがとう」 白銀の光から出てきたのは少女だった どうやら彼女の名前はアリスと言うらしい 「ずっと会いたかったわ、あなたに…」 アリスはフランス人形にお礼を言うと、僕に話しかけてきた 「君は…?」 「私の名前はアリスっていうのよ」 「アリス…?」 「そうよ、あなたのお名前は?」 アリスは僕に尋ねてきた 僕の名前を… 「僕…僕の名前は……」 僕は少し間を開けた アリスとフランス人形は僕の名前を聞きたいようで、じっと待っている 「僕の名前は…………ヴァン…」 その時 僕の中のナニカが動き出した  
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