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船に乗った初めての感想は『最悪』以外の何物でもなかった。
奇妙な浮遊感というか揺れが、僕の胃にブローを叩き込む。
だが、僕だってその程度じゃ負けないんだぜ。
ふっ、この程度……この、程度……こ、の、程度…………うぷっ。
遂に僕は青い海に吐瀉物をばらまいた。
いや、だってそりゃ何度も何度も胃にブロー叩き込まれればどんな強靭な肉体を持ったボクサーだってくの字に折れ曲がるさ!
ストマックブレイクだよ。
胃の中にあるものを出しきってすっきりした後、まだ吐き気はするけど、なんとなく周りを見渡してみる。
どうやら結構な距離を進んだらしくもう陸地が小さく見える程度になっていた。
しかし、今更ながらこの船、高いだろうなぁ。
クルーザーというのだろうか、白を基調としたデッキは広く、船内もトイレや食料庫まであり決して狭くない。
こんなものをチャーターできる辺り氷昼さんは底が計り知れない人である。
……何時になったら着くのかなぁ。
なんてそんなことを考えていると、進行方向に島が見えてきた。
どうやら、あれが僕達の目的地である『六獅子島』のようだ。
僕は少しだけ緊張した、そしたらまた吐き気がしてきた。
……うぅ、船は辛いかも。
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