6人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
案の定、リハルトは綺麗な蝶とか野鳥を見つけると『姫』に優しく話しかけ、奇怪な昆虫や珍獣を見つけると、オイラに嬉々として「同族の顔くらいは覚えていますよね?」と尋ねてきた。
お前なんか足の裏を虫に刺されて歩く度に顔をしかめちゃえ!
「もうすぐ追い付くかな……おや、あんなところに、美味しそうな果実が生っていますよ」
それはよかったネ。もういいから早くマギー達に追い付きたい。すぐ殴るけど、マギーが記憶のないオイラに一番友好的だ。
だって……だって彼は、副戦長だもの。
「あの果実を採ってきてくださいませんか?」
「へ?」
吃驚してリハルトを見ると、彼はにっこりと優しく微笑んだ。
「そこの果実です」
どれどれ、とオイラは樹木を見上げ……って、かなり遠く、高くに見えるんだけど。何で見つけられたのか不思議。それに、枝がない上に幹がつるつるしてて登り難そう。
「無理っス、高すぎるよ」
「『いつも通り』にお願いしますね、『雑用』のリータさん」
ああ、今のオイラに拒否権はないんだった。
こうなりゃ見せませド根性ッ!!
「うぬぬぬ…!」
荷物を降ろし、オイラは木を登り始めた。
「頑張れサル、負けるなサル、ははははは」
今なら何の躊躇いもなくこの人を殺れると思う。うう、あと少しだ……。
指が痛いし、足もキツイ。靴脱げばよかった。おそるおそる下を覗くと、結構上まで登っていて、自分でも驚いた。
ん?
なんか、『姫』が本を開いて、リハルトに見せてる……そして、リハルトが口元に手を当て、オイラの方に叫ぶ。
「すみません、サル、それ毒が入っていて食べれませんでした!」
「呪われろぉおおおおおおお!!!!!!!!!!!」
→NEXT
最初のコメントを投稿しよう!