8人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
「…もう貴方とはやって行けないの」
涙を流しながら、目の前の女、由美がそう言った。
無理だとは解っていても
藁(わら)をも掴(つか)む思いで由美に詰め寄り由美の両肩を掴んだ。
「俺の悪い所は治す、だから…だから何とかならないのか?由美頼む!」
我ながら情けないが背に腹は代えられ無い。
由美は、ハッとした表情をし俯(うつむ)いたが
逸れはほんの一瞬で
直ぐに顔をあげると
「ごめんなさい…」
それだけ言うと
俺の手を振り解き
足元に置いてあった荷物を持ち振り返る事無く部屋を出て言った。
「待ってくれ!由美ー!」
急いで後を追うが、どれだけ走っても由美との距離は離れて行く。
どんどん離れて行き最終的には消えてしまった。
最初のコメントを投稿しよう!