10 遥か彼方の物語Ⅱ0.5

14/23
1475人が本棚に入れています
本棚に追加
/165ページ
「ほら、寒い」 「な…もう!」 私は、慌ててディルの首に抱き付いた。 ククッと笑い声がして、ディルも私を抱く腕に力を入れる。わっ! ギュッと抱き締め返されて思った。 『思うツボ…だった?』 でも、ディルの言う通りで、くっついた場所が暖かい。 「な?暖かい」 「…うん…」 暖かいのはそれだけかな?私は、顔が熱くて仕方なかった。 「…すっげー!!!」 突然、ルーの声が響く。いつ戻ったのか、いつもの声だ。 一体?私が顔を上げると、目の前の木々が光輝いていた!うわぁ! さっき見た小さな花火みたいな現象が全部の木で起こっていた。 「キラキラー!」 ルーのはしゃぐ声。本当に! 色々な色の光の球が、次々に弾けて消えて…まるで、花火大会のフィナーレだ! それが目の前で…規模も広大で…視界いっばいに映る。 「凄…」 私の見ていた目の前の木が光の塊の様になった。 他の木々も次々に光って同じ様になって行く。なんて圧倒的な光! 『…眩し!』 光のあまりの眩しさに、私は、ついに目を瞑った。 「終わりだ…」 ディルがポツリと呟いた。
/165ページ

最初のコメントを投稿しよう!