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そう言うが早いか、ティアは早口で呪文を唱え始めた。あまりの早さに何を言っているのかわからない。
ディメンジョン・ゲート
「…開け、【異世界の扉】」
詠唱を終えたティアは、突如空間から丸いゲートを出現させた。扉はないのに、向こう側には闇しか見えない…。
「なっ…!」
敵も驚いているようだ。
「あれは…【次元転送】だと?なぜこんな小娘がそんな高等魔術を…?」
フードを目深に被った敵がしわがれた声で言った。
「セイヴァー様…阻止すべきです!」
鎧を着た若い女性は焦って言ったが、銀髪の剣士セイヴァーは落ち着いていた。
「我々は約束は破らんのだよ、フレイヤ。彼らは一歩たりとも動いていないだろう?」
「よく聞いて、バレン、シーク。今からこの子を…異世界へ逃がす」
ティアは緊迫した声で、側にいる従者二人に言った。
「この扉は1分間、異世界とこの世界を繋いでる。向こうにいけば、追っ手が来ることもなくこの子は平和に暮らすことができる。ただし…そこに行けば恐らく、二度と戻ってはこられない…でもシェイドを守るためにはこの子をその扉に放り込むしかないの!でも付き人がいるわ…こんな幼い子を一人では行かせられない。でも私とレイは現王族である以上、逃げないでここに残らなければならない。だから誰か…一緒に…!」
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