一度だけ。

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『おやすみ』 この当たり前な言葉が嫌いだ。 おやすみと言って朝になると隣にいないのは解ってる。 温もりさえも残してはくれない。 何年か前、起きても彼が隣にいたことがある。奥さんが妊娠中で田舎に帰省していた頃だ。 彼の寝顔を初めてみた。 幸せそうな顔をして寝ている彼の横でアタシは自分の下着に手忍ばした…… 彼の顔を見ながら指を静かに動かすと、 すぐにジワジワと指に絡まってくる。 アタシは暫くその悦びに浸っていた。
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