夜の蝶。

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夜の蝶。

夜の蝶。 そんな風に呼ばれるアタシの仕事は、決して楽ではない。 高級店だから客層もグレートが高い。 アタシの一番の客である医者の鎌田は『僕は愛子ちゃんの為なら何でもできるんだよ』が口癖。 ある日、『銀座にマンションが欲しいわ』 と冗談で言うと、 翌月には権利書を持って店に来た。 勿論、名義はアタシ。 藤間 愛子 と書かれた権利書を手にし今までで一番高価なプレゼントを何の迷いもなく受け取った。 『鎌田さんありがとう!!』 アタシは思わず抱きついた。 人間、慣れは怖い。 普通では考えられないようなプレゼントでさえ、貰い慣れると完全に麻痺をする。 ご飯をご馳走してもらったのと同じ感覚なのだから。
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