1人が本棚に入れています
本棚に追加
『僕がする最初で最後の譲歩だよ、レイジさん』
低く冷たい声。
今まで見せていた少年っぽさなんか何処にも感じさせない。
しかしそれに飲まれる訳にはいかない。
自分にそう言い聞かせ急に渇きを覚えた喉から声を搾り出す。
「ユウヤは何処だ」
掠れた声でそれだけを言い放つ。
『心配しなくても何もしてないよ。
彼は元気、ただしばらくレイジさんには会えないだろうけどね』
そしてフフッっと笑うと付け加えるように。
『どういう意味か解るよね?』
と少年っぽさを取り戻した声で尋ねてきた。
「あぁ」
それだけを返すのが精一杯だった。
『それじゃあレイジさん、僕の質問に答えてよ』
もう俺はこいつに従うしかなかった。
2年離れていたとはいえユウヤは俺にとっては弟のようなものだったし何よりあいつを巻き込んだのは俺だ……。
最初のコメントを投稿しよう!