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2006年11月
職場の電話が鳴った。
いつものように電話に出た私。
出先からの職場の子からの電話だった。
[新井さん…今日、早退させてもらっていいですか?]
[何言ってんの?いい訳ないじゃん。どうかしたの?]
[りゅうくんが…りゅうくんが昨日亡くなったらしいです]
[は?何冗談言ってんの?]
私はそういいながらも気が動転していた。
[すみません。俺、仕事出来ません。帰ります。]
と、電話が切れた。
あまりの突然の事で、訳がわからなくなっていた私……。
りゅうと職場の子は友達同士だった。
職場の裏口から外へ出た私は、恐る恐るりゅうの携帯に電話をかけて見た。
[はい。りゅうのおじですが、昨日りゅうは亡くなりました。]
[……]
しばらく声が出なかった。冗談ならいい、そう思ってかけたけど…やっぱり本当の事だった。何もしゃべらない私に、
[どちら様ですか]
と、叔父さんは言った。
[……新井と申します。お母様によろしくお伝えください。]
そう言っただけで、私は電話を切りました。
そう言うだけで精一杯だった。
そして何事も無かったかのように、裏口から店へと戻った。
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