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平然としている事に必死だった。
仕事をしなければならない。
仕事を投げ出す訳にはいかない。
だけど……時間がたつにつれて周りの音すら聞こえなくなっていた。
完全に別の世界にいるみたいに……まわりが見えなくなってた。
お客さんに呼ばれ、必死で接客をし、仕事に集中しようって…
でも、私の目は次第に、涙ぐんでいった。
涙がこぼれたら最後。
店の中で涙が止まらなくなっていた。
急いで裏口へ行き、涙を拭いて、深呼吸をし、再び店へ。
でも、もう限界だった。
駆け足で事務所へ行き、休憩をとっている職場の子に
[仕事に戻ってくれないかな]
と、伝えた。
私の顔を見た瞬間、
[新井さんどしたんですか?]
ビックリしたように、尋ねられた。
我慢していた涙が溢れでていたからだ。
職場の子にはもちろん、今まで、泣き顔なんて見せたことがない。
[りゅうが亡くなったって今電話があったの]
[…えっ?]
きっと、ホントですかってあたしに言いたかったと思うけど、そのこは、
[わかりました。新井さん、事務所にいてください
]
と、言ってくれた。
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