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ボクには腕がないから…
だから君を抱きしめられない
ボクには見えている腕は、
君には見えていない
壊れたボクは
君に見向きもされない
ねぇ、
たとえ壊れた人形であっても、
感情は枯れることはないんだよ
いつの間にか壊れてしまったボクの腕だって、
ただそれはボクを形作るひとつが無くなってしまっただけ
目を背けないで
ボクは何も変わってない
君を想う気持ちに変わりはないんだ
年月を経て、
使い古された人形は
ただその瞳の中に自分のすべてを隠す。
それに気付く「君」が現れるまで……
――部屋の暗い片隅で、
埃(ほこり)を身に纏い――
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