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目覚めるとそこは、いつもの空間。
冷たいコンクリートの壁と床に囲まれた立方体の部屋。
外の石畳が見える錆び付いた鉄格子。
固い木製のベッド。
いつから掃除していないのかわからないトイレと洗面台。
ヒビの入った洗面器。
元は白だったのであろう、黄ばんで薄汚れた囚人服。
私には…これが普通の光景なのだ。
先延ばしになるカウントダウンをひたすら数えて、もう数ヶ月。
壁にはうっすらとついた血の跡。
私の爪はもうボロボロになっている。
最初の1ヶ月ほどは、恐怖に堪えかねて泣き叫び、狂ったように辺りの物を壊した。
そのたびに看守に殴られた。蹴飛ばされた。髪を引っ張られた。
お陰で奥歯が2本欠けてしまった。
そしてある日、暴れることを諦めた。
何をしても運命を変えられないことを悟ったのだ。
今はただ…カウントダウンを壁に刻むだけ。
そうだ…
私は死刑囚…。
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