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看守に引き連れられ、死刑台まで四方八方からの罵声を浴びながら歩く。
声と声が重なって、誰が何を言っているのか聞き取れない。
本当に猿が騒ぎ鳴いているようにしか聞こえない。
そして私は、死刑台に上る。
あぁ…よく見える。
私に罵声を浴びせる猿どもがよく見える。
この街に、こんなに人間が居たのか。
中には私の見知った顔も居るが、彼らの口からも罵声ばかりが垂れ流される。
見事に味方のいない、敵ばかりの世界の中心に私はいるらしかった。
…………ところで私は、どうやって死ぬと言うのだろう?
ギロチンもない。
先が輪になったロープもない。
私は何を、させられるのだろう。
私が考えを巡らせていると、1人の軍人が台に上り、私の隣に立った。
そして民衆に向かって、気味の悪い、自信に満ちた笑みを浮かべて、深く息を吸った。
「皆様、どうかご静聴を!!どうかこの娘を、責めないでいただけないか!!」
………何を言い出すのかと思えば…。
彼の声に、民衆は一気に静まり返り、彼の演説に耳を傾けた。
「この娘の父親は、お国に刃向かい、陛下のご意志に背いた!我々は男を許さなかった。我々は男を追ったがこの娘は、自分が父の代わりになると申し出たのだ!!そしてその血肉を以て、お国に!陛下に!償いをすると言うのだ!!!なんという美しい忠誠心!!皆様、そうは思いませぬか!!!!」
大袈裟な動作と共に演説をする軍人に、民衆は沸き立った。
私への罵声が、突然英雄を讃えるかのような歓声に変わった。
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