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「なんでそばにいるのがやさしいの?」
僕はよくわからなかった。
しょうみ姉ちゃんは少し悲しそうな顔をして、
「私もね、輝矢くんのお家と一緒で共働きだからお家に帰ったら一人ぼっちなの。輝矢くんは覚えてないかもしれないけど・・・昔ね、私も輝矢くんと同じようにお家の玄関前で泣いてたことがあったの。」
しょうみ姉ちゃんは少し微笑んで僕を見た。
「そしたらね、後ろから『どうしたの?』て声をかけられたの。」
「だれにこえをかけられたの?」
しょうみ姉ちゃんはクスっと笑って
「輝矢くんよ。おぼえてないでしょ?」
僕は首を横にブンブンと振って覚えてないと呟いた。
「だって輝矢くんはまだ3歳だった頃だもの。覚えてないのも無理ないわ。」
しょうみ姉ちゃんは顔を少し上に向けて目を瞑って続きを話す。
「私は誰だろうと思って後ろを向いたら、輝矢くんがそこにいたの。そしたら、『どうしてわんわんしてるの?』て聞いてきたの。はじめは意味が解らなかったけど、多分わんわんっていうのは泣いていることだと解ったの」
しょうみ姉ちゃんはまたクスクスと笑った。
「ぼく・・・わんわんって言ってたんだ。」
僕は恥ずかしくてしょうがなかった。
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