prologue:輝けるはず

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しょうみ姉ちゃんは、僕が恥ずかしくてモジモジしているのに気付いて少し微笑んで続きを話し始めた。 「私は輝矢くんに、一人ぼっちで悲しくて泣いているのって言ったのよ。そしたらね、輝矢くんは私に近づいてきて、しゃがみ込んで泣いている私の頭を撫でてくれたの。」 しょうみ姉ちゃんは微笑んで、僕の頭を撫でてくれた。 「輝矢くんは私の頭を撫でながらこう言ったのよ。『いたいのいたいのとでけぇ』って。輝矢くんはにっこりと笑って私を見つめていたわ。」 「・・・なんでケガもしてないのに、ぼくそんなこといったんだろう?」 僕の呟きを聞いて、しょうみ姉ちゃんは少し考えて、 「私は怪我をしていたんだと思うわ。だって、輝矢くんの言葉と笑った顔で心の痛みが飛んでいっちゃったもの。」 しょうみ姉ちゃんはそう言って両手を上げてパァーと広げた。 「・・・・でも、ぼくはそこまで考えていってなかったんじゃないかな。」 僕は小さかったから流石にそこまで考えて言えるわけないと思った。 「私はね、その時の輝矢くんの言葉と行動がとても嬉しかったわ。優しさを感じた。そして、その時に思ったことがあったのよ。」 しょうみ姉ちゃんはそう言って空を見上げた。
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