prologue:輝けるはず

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僕もつられて空を見上げる。 少し暗くなってきた。 空には月がでていました。 今日は満月だった。 綺麗な丸い月。眩しいくらい輝いている。 「こんな感じのお月様のように優しい光を感じたよ。だから、私は輝矢くんは優しい人だと思うの。」 しょうみ姉ちゃんはそのまま月を見ていた。 「でも、ぼく・・・強くはないよ。」 「強くなれるよ。だって、輝矢くんは優しさをみんなに向けられるでしょ? 困ってる人がいたら、いつも声をかけてるじゃない。」 僕は確かに困ってる人がいたら無意識に声をかけることがある。なぜか解らないけど。 「困ってる人とかに声をかけることってすごい勇気がいると思うの。学校で、みんなが見てる前で一人だけ手を挙げる時って勇気がいるでしょ?」 僕はコクリと頷いた。 「そんな勇気があるのだから、絶対に輝矢くんは強くなれる! 私はそう思ってるわ。」 僕はしょうみ姉ちゃんの顔を見た。それに気付いて、しょうみ姉ちゃんも僕に顔を向けてきた。 「ぼく、つよくなりたい。お月さまみたいにみんなに見てもらいたい!ぼくがんばってつよくなるよ!」 それを黙って聴いていたしょうみ姉ちゃんは、少し微笑んで小声できっとなれるわと呟いた。
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