浦島志郎

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そのまま亀に乗ったまま、開いた扉から竜宮城に入る。 中は空気があるらしく、水を寄せ付けない何かがあるらしかった。 「サアサア、コチラヘ」 亀はすーっと泳ぐように志郎を奥に奥にへと連れていく。 志郎もそれに従い、周りをキョロキョロと見ているだけだった。 気付いたら志郎は屋内にいた。 大きな部屋で、志郎は亀からゆっくり降りた。 畳に座り、机に触れる。 暖かい空気が流れていて、居心地が良い。 「あら、お客様ですか?」 と、後ろから女性の凛とした声が聞こえた。 志郎が驚いて振り向くと、中華風の着物を着た志郎より年上であろう美人がそこにいた。 (…ああ、この人が) 半ば核心に近い感覚で志郎は思った。 その女性は亀から志郎に助けてもらった旨を聞いている。 亀から話を聞き終えると、ぱっと顔を輝かせて志郎を見つめてきた。 「亀を救っていただいたのですね、どうもありがとうございます。ここは竜宮城、私は乙姫。あなたさえ良ければ精一杯のもてなしをさせて下さい」 深々とお礼しながら言う女性、乙姫。 (絵にも描けない美しさなのは竜宮城じゃなく、この人だな) 志郎は、そんなことを思った。 .
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