237人が本棚に入れています
本棚に追加
ティアさんが言いかけた時、破壊音と共にコンピュータルームの床を突き破って、巨大なロボットが姿を現した。
ロボット…と言うか、球体のコックピットに手足として鉄球付きの棒を取り付けただけ物体なので、そう言っていいのかわからない。
僕等三人は唖然とそのロボットを見上げていると、コックピットの屋根が開いた。
「やっほ~ティア~俺がいなくて寂しかったか!?」
「俺は君が出ていってくれて踊りだすほどうれしかったけどネ。」
コックピットから顔を出したのはハティさんの魔法で眠っているはずのシャルさんだった。
「貴様…狸寝入りしていたのか…」
ピクピクと口元を痙攣させながらハティさんはティアさんの上から足をどけ言った。
ものすごく怒っている事がわかる。
「そういう事。けっこう上手くいくもんだな。嘘寝って。」
ピキッとハティさんの額に青筋が浮かんだ。
ま、マズイ…!マジギレのサインだ!
「て、ていうか、シャルさんは一体何を盗んだんですか!?」
ピリピリとした空気を変えるためわざと話題を逸らす。
我ながらナイスだ。
「フフフ…聞きたいかマミー。」
「無視でいいヨ。頭のビョーキうつされるヨ。」
「俺は何かの病原菌か。」
ニヤニヤと笑うシャルさんにティアさんは冷たく言い放った。
ていうか、ティアさんシャルさんに対してはすごく毒舌なんですね…。
「で、結局何だ?」
大分落ち着いてきたハティさんが話を戻した。
話を戻されたのが嫌だったのか、ティアさんは眉をよせてバツが悪そうな顔をする。
「聞いて驚け。…ティア幼少期の写真だ!!」
ババーン!と効果音を鳴らしてシャルさんは懐から現像した写真を数枚取り出した。
それは金髪の小さな少年が隣に立つ同じ金髪の少女の服を涙目で握っている写真や金髪の少年が眠っている写真だった。
金髪の小さな少年は言わずもながらティアさんだろう。少女のほうは…髪の色や顔を見る限りでは、ティアさんのお姉さんと考えるのが妥当かもしれない。
しかし、今はそんな分析はどうでもよかった。
.
最初のコメントを投稿しよう!