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「オォ?どーした妖怪二人組。あまりのティアの愛らしさにあいた口も塞がらない、か?」
「死ねよオマエ。」
あまりのくだらなさ、否、阿呆さにあんぐりと口を開けていた僕とハティさんにシャルさんはからかうような口調で言った。
その後にティアさんが刺のある声音で言い放つ。
「な、な、なんで…写真なんか…盗んだんですか…?」
「だって最近、ティア研究ばっかしててつまんねーんだもーん。ま、暇つぶしってヤツ?」
もーん。じゃないですよアンタ。可愛くねーよ。
さも当然の様に言うシャルさんに、僕はもう何も言えなくなった。
「俺はオマエの遊び相手じゃないんだケド。オマエも俺のボディーガードなんだからちゃんと働いてヨ。」
「つめてーなぁ。ほーらちっせー時はこんな可愛かったのに。あ、今も十分可愛いけどな!」
「ウルサイ。早くソレ返しなヨ。殺すヨ。」
「殺れるもんならやってみな。今はあの気色ワリィボーズちゃんもいねぇんだろ?」
「ボーズじゃないし、ローズちゃんだし。シネ。」
どうでもいいよ。
心底こう思ったことは初めてだった。
「でもまぁ、今日はこの工学班から借りてきた『二足歩行戦闘型ロボットミリィちゃん』で、今まで放置されてたぶんイロイロ遊んでもらうぜ!?」
シャルさんはものすごく説明口調でそう言うと、操作レバーを手前に引いた。
するとミリィちゃんの右腕がコックピットの球体と切り離され僕等の方に向かってとんできた。
ロケットパンチだ…!しょぼい!!
このままだと僕等はロケットパンチの直撃を喰らうだろう。
しかし逃げる必要は無かった。
散々巻き込まれてオチがここまでくだらなかったら、あの人がキレないハズがない。
パシィッ!
「え?」
気の抜けた声はシャルさんの物。
今目の前で起きた事が理解できないようだ。
それもそのはず。
ものすごい勢いで放たれたロケットパンチを、直撃するギリギリのところで止められてしまったのだから。
しかも素手で。
そして片手で。
誰がそんな常識はずれの事をって?
こんなこと出来るのはこの人しかいません。
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