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―――――
ガキィィンッ
刀達が音を鳴らし
「ギャァァァッ」
無数の叫び声と
「ヒヒィィンッ」
道連れにされた馬達の痛々しい鳴き声が聞こえる
誰もが顔に血を付けて
ただ目の前にいる敵を倒してる
ここは戦場
「旦那ぁー」
オレは探していた
「ったく、何処に行ったんだよ」
あの方を
「旦那ぁ?」
大丈夫、あの方はこんなところで死ぬような人じゃない
そう、安心していた
きっと自分の服より真っ赤な血を付けてどこかで戦っているだろうと…
「危ないっ!!」
ドンッ
「!?」
オレの背中を誰かが優しく押した
その顔を見た 見てしまった
…優しく笑っていた
苦痛に耐えながら
精一杯の笑顔を
オレの向けて
その瞳は
どんどんオレの目線から外れていく
ドサッ
時間が妙にゆっくりで
なんにも聞こえなくなる
頭の中が真っ白になる
でも、手や顔にかかった物は
真っ赤で
それを見た瞬間
頭の働きが戻り始める
時間も速く過ぎる
そして理解したくない物を理解した
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