14606人が本棚に入れています
本棚に追加
/284ページ
俺はこの時、死んだはずだった。
車に跳ねられて、死んだはずだった。
俺の物語はここで完結のはずだった。
けれど終わらなかった。終わらせてくれなかった。
何も無い、灰色の虚無の世界を見てきた俺に、この先素晴らしい鮮やかな世界が待っているなんて、思いもしなかった。
身体中が痛い。一体俺はどうなったのだろう?
車に跳ねられ、死なせてくれって思って……それからどうなった?
重い瞼が開く。
「あ、大丈夫ですか!?」
すると知らない少女の瞳が、俺の姿を捕らえていた。
この少女が、俺の世界を変えることになる。
最初のコメントを投稿しよう!