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予想通り。千夏からだ。
『春馬。秋人から聞いたんだけど、ずっと私達を応援してくれてたんだね。
アリガト。
夜中にまで変なメール送っちゃってさ。それでも春馬は親身になって聞いてくれたよね。
今度はさ!私達が春馬の相談に乗るからさ!いつでも頼りにしてね!
ホントにアリガト春馬!
私達一生友達だよ?』
その千夏のメールには、秋人から送られてきた画像と同じものが載せられていた。
バッカじゃねえの?誰がお前ら何かに頼るかってーの。
一生友達?はは、ゴメン俺高校卒業と同時にサヨナラするつもりだったわ!
はは、揃いも揃ってバカばっかりだな!!何勝手に友情感じちゃってんの!?
はははっ!!まじウケる!!
ハハハハハハハハハ!!!!
……何してんだろ俺?
時々ナーバスになる。自分の存在意義が分からなくなる。
何で生きてるのか、分からなくなる。
学校では無理して自分偽って、適当な付き合いして。楽しい事なんて全くない。
夜は毎晩違う女を抱いて、金を貰って、生活費にして。
家に帰れば秋人らのウザイメールに付き合って、終われば死んだように眠り、朝が来る。毎日その繰り返し。
暗い気分で、明るい口調の返信をしながら歩いていく。
携帯を見ていたから、俺は赤信号に気付くことができなかった。
プーップーッというクラクションでやっと身の危険に気付いた時にはもう遅い。
目の前には、黒い鉄の獣が突っ込んで来ていた。
このまま死なせてくれ──…
そう思った次の瞬間、俺の意識はぶっ飛ばされた。
車から人が降りてくる。辺りの誰かが救急車を呼ぶ。
そして意識を失った血まみれの少年の頬に、少年の大嫌いな小雨が降り注がれた。
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