家主の挨拶

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おや、お客さまですか?直接私の家を訪れるということは、さぞ好奇心が旺盛な方なのでしょうね。 ご覧の通り、私の家はお世辞にも綺麗とはいえません。門はきしんでキイキイ音を立てますし、ドアの鍵は壊れて、蝶番いだけでつながっている有様です。部屋には割れた窓ガラスの破片が散乱していますし、床板は所々腐ってボロボロ、天井にも黒いシミが目立ちます。 しかし、下手に整頓された小綺麗な部屋より、このような廃墟に魅力を感じる方もいらっしゃるようで……まぁ、どうぞゆっくりしていってください。お茶の一つも出せませんがね。 あぁ、その部屋は倉庫になっています。散乱している品々は一見するとゴミのようですが、ただのガラクタではありません。すべて人間の願望が生み出したものなのです。 もしもこうだったら……もしもあのときこうしていたら…… そんなこと、誰でも一度は考えたことがあるのではないでしょうか。倉庫のアイテムは、それらをすべて可能にするのです。 人間が生み出したものですから、それを必要としている方にお届けすべき、そう考えた私は、アイテムを無償で提供しています。 よろしかったら自由にご覧になってください。ただし、お手を触れないでくださいね。 おっと、これは失礼。自己紹介もせずに家のことばかり…… 私のことはルーニーと呼んでください。苦しんでいる人々に救いの手を差しのべる仕事をしています。
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