幸運の鍵

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「ここですよ。」 キョロキョロする私の前に、一人の若者が電柱の影からスッと現れた。暗くてよく見えないが、年齢は20~30代ほどの細身の男性だ。灰色のコートを羽織り、ジーンズを履いている。 「な、なにか?」 男性に声をかけられるまでまったく気配を感じなかったことに、私は不気味さを感じた。 「あなた、今自分のことを悲観なさっていたでしょう?私が思うに、クリスマスシーズンの人間は大きく3種類に分類されます。ウキウキする人とうんざりする人、そして無関心な人ですね。」 男性は右手の人差し指を天に向け、どうしたらよいか分からずにいる私に質問を投げかけた。 「クリスマスなど自分には関係ないとお考えのあなた、もし望むものが何でも手に入るとしたら、何を願いますか?」 「面白いことを言うじゃないか!私のふところは、冬の寒空に負けないほど冷え込んでいるんだよ。サンタクロースが現れたら、私は迷わずこう言うね。"金をくれ"と!!」 パチンコで負けたイライラがまだ残っているのだろう。かなり強い口調で言ったにも関わらず、男性は平然としていた。 「現金ですか。承知しました。その願いにぴったりなプレゼントがあります。」 男性はコートの右ポケットから、何やら光るものを取り出した。
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