幸運の鍵

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「これです。」 男性の左手には、木製の小さな宝箱がのっている。大きさは男性の左手から少しはみ出るほどで、高さは鍵と同じくらいだろうか。フタの部分がアーチ状になっていて、箱の前面に鍵の差し込み口が付いている。海賊の宝箱を小さくしたような感じだ。 なんだ、これは明らかに…… 「おもちゃなどではないですよ。この鍵を使って宝箱を開ければ、あなたは大金を手にする。鍵を開ける行為は、いわばあなたの意思を確認するものです。契約書のサインと一緒ですね。」 男性は右手の鍵と左手の宝箱を交互に持ち上げながら説明する。 「私はこの鍵を幸運:luckと鍵:keyをかけてラッキー:luckeyと名付けました。あまりに単純なネーミングでしたかね?まぁ、そんなことはどうでもいいとして……」 男性は鍵と宝箱を私の前に差し出した。 「鍵と宝箱、セットで差し上げます。もちろん無償で。どうしますか?こんな機会は滅多にありませんよ。」 さきほどから都合のいい話ばかり…どうせただの鍵と宝箱の模型だろう。だが…タダでくれるというのならもらってもいいな。小物入れくらいには使えるかもしれない。 「もらっておくよ。」 「必ず役に立ちますよ。鍵を差し込んで右に回せば箱は開きます。ただし、一つだけ注意点があります。」 鍵と宝箱を渡しながら、男性は今までとはうってかわって真剣な表情になった。
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