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「それから亜希は、ちゃんとご飯も食べる様になって元気になったわ。私は、亜希が陽平くんを思い出させないようにすることしかできなかっただけなの」 「……お母さん。ありがとう。ごめんね、ありがとう」  溢れそうになる涙を、私は必死に堪えた。 「水を差すようで悪いんだけど、この鍵はなんの鍵なんだ?」  私が記憶を取り戻すきっかけとなった古びて錆が付いた鍵を、涼は箱から拾いあげた。 「……すぐにわかるよ。行こう」  そう言って、私はよろよろと立ち上がった。
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