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 私は六~七歳の頃の記憶が無い。  否、思い出せないと言った方が正しいだろう。  その頃の事を思い出そうとすると、まるでそれを拒絶するかのように頭痛が邪魔をするのだ。  私自身にも理解出来ない何かが、私の記憶に蓋をしている。  無理矢理こじ開けようとすれば、容赦なく見えない縄で頭を絞め付けてくるのだ。 「……結婚しようか」  涼がアイスコーヒーを飲みながら言った。
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