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「…………は?」  あまりに突然だったので、声が裏返ってしまった。 「結婚、しようか、って言ったの」  誰がゆっくり言えって言った。 「け、結婚って……まだあたし達、学生だよ?」 「うん。だから、俺が就職したら」 「就職って、涼、あんなに推理小説家になりたいって言ってたじゃない」 「そりゃあ、なれるもんならなりたいけどさ。まぁ、出版社の編集者とかやりながら、暇があったら小説書くよ」 「ずっとなりたいって言ってたのに」 「仕方ないだろ。夢より大切なものが出来たんだ。物書きが出来なくなるわけでもないし」  な。と、彼は笑った。
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