五幕 幼かった彼女はもういない

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「あれは…確か前に見たな」 記憶を辿る桂は、顎に手を当ててじっと扇を見つめる。 「あれは藍の父であり、風間家頭領だった嵐が使っていた武器…白磁」 「はくじ……。っ!そうか!藍殿は嵐殿から受け継いだのか」 「そうだ。あれを平気で持っていられるのは、風間家頭領のみ。凡人が一度触れれば、その手は凄まじい風に身を斬られて死に絶える。藍は白磁に認められるほど、強くなったんだ」 「そうなのか…だから町で噂に…」 桂は理解したように感嘆の息を吐き、藍を眩しそうに見る。 もう、幼かった彼女はもういない。 五年という歳月は、彼女を成長させるには十分過ぎたようだ。 「なぁ、姫さん。一つ賭けないか?」 「賭け?」 「あぁ。勝った方が負けた方に何でも命令出来る。まぁ、在り来たりだがおもしれぇだろ?」 にやりと笑った高杉の顔は、自分が負けるとは微塵にも思ってない。 自身に溢れている顔だった。 「…いいだろう。後悔しても知らないからな」 藍も負けじににやりと笑い、白磁を高杉に向けた。 「くっく…そりゃこっちの台詞だっての。…じゃあ、始めるぜ」 「あぁ」  ガキィンッッッ!!!! 二人の間に、火花が散った。  
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