プロローグ タイムスリップ

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国は、今回の演習に相当力を入れていた。これらの軍事力を見せつければ、アジアの国々――特に反日意識が高い中国・韓国・北朝鮮――から、数年は戦争を仕掛けられはしないだろう、と思っていたのである。 午後9時になろうとしていた。不意に、水平線の上に瞬く星ぼしが、消えて行ったのである。……黒い、不気味な雲が、上空を覆い隠して行った。 「司令。気象庁より入電です。『発 気象庁 宛 海上自衛隊第1護衛艦隊司令長官清水邦。昭本文 南方ノ太平洋上ニ低気圧発生。ゲリラ雷雨トナル可能性ガアルタメ、注意サレタシ』」オペレーターが、紙に印刷された電文を読みながら言った。 「低気圧?」 そう聞き返した時、ピカッという閃光が上空を照らし、ゴロゴロゴロ……と雷鳴が轟いた。そして、大粒の雨が降りだした。
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