プロローグ タイムスリップ

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「来たぞ!」 清水が叫ぶ。しかしその声は、大音響で轟く雷鳴によってかきけされた。 次の瞬間、凄まじい閃光が艦橋を包み込んだ。恐らく、雷がアンテナに落ちたのだろう。これぐらいなら、びくともしない。しかし、クルーたちには、そのあとの光景が信じられなかった。艦が、沈んでいる。周りは、水の壁で覆われていた。 何なんだ、一体これは……。清水がそう思った時、水が艦内に流れ込んだ。 「うわあああーっ」 最後にクルーたちの悲鳴が聞こえ、清水は気を失った。 この日、太平洋で「異変」が起きた。突如出現した巨大な低気圧から発生した落雷が艦隊の全ての艦のアンテナに命中し、全ての電子機器が使用不能となった後、巨大な渦巻きが発生して艦隊を飲み込んだ。 政府は連絡が取れなくなった艦隊の捜索を開始したが、何も手掛かりを掴めないまま、全艦「沈没」という見解を世間に発表した。こうして、第1護衛艦隊群は、消え去ったのである……。
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