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「この艦影は……『扶桑』?しかも、あれは――」
ごくり、と舟田が唾を飲み込む音が聞こえてくる。
「艦長! 不明艦より発光信号! 本文。『タダチニ停船シ、貴艦ノ所属ヲ上申シタノチ二旗艦二出頭セヨ』です」
「どうします、司令?」
呆然と立ち尽くす田代が、訊いた。
「うむ……。全艦、停船しているな?」
「はい」
「舟田! 不明艦の種類は分かるか?」
「はっきりとは分かりませんが、『長門』、『山城』『扶桑』を確認しました。これは、あのミッドウエイ海戦の前夜の山本五十六(やまもと いそろく)司令長官率いる主力部隊の配陣です」
双眼鏡を覗き込みながら、舟田が答える。しばらく考えてから、清水は「不明艦に返信!」と叫んだ。
「本文。『我ガ艦隊ハ海上自衛隊第1護衛艦隊群。旗艦イージス艦「さがみ」以下9隻で編成。今ヨリ貴艦隊ノ旗艦「大和」二向カウ』」
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