第1章 ミッドウエイ海戦

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意外そうな表情をしているクルーたちを尻目に、清水は大声で「輸送ヘリ『うみかぜ』、出発準備を急がせろ! 搭乗員は、俺と川峰(かわみね)、白井(しらい)だ!」と叫んだ。川峰一匡(かずまさ)と白井夏彦(なつひこ)が、「はっ」と敬礼をする(川峰と白井は2尉、航海科)。 そして、時刻を確認した。午前3時25分だった。 こうして、午前3時40分に、清水・川峰・白井、それにパイロットの竹崎治(たけざき おさむ)と市田吉武(したよし たけし)を乗せた輸送ヘリ「うみかぜ」は、旗艦「大和」に向かった。 連合艦隊旗艦「大和」第一艦橋午前3時50分 司令長官の山本五十六は、参謀の宇垣(うがき)らと共に、ごくりと息を飲みながら、静かに状況を見守っていた。 ついさっき、濃霧の中から忽然と姿を現した謎の艦隊。その司令長官(確か清水邦昭と名乗っていた)がこの「大和」に来ると打診があって、数十分で謎のオートジャイロが飛び立った。まだ我が軍でも開発中のオートジャイロがである。 「司令……あれは、一体何なんです?」 宇垣が訊いた。 「解らん。オートジャイロのようだが、我が軍には、あんな機体は存在せん」 不思議がって見ている「大和」のクルーたちを尻目に、「うみかぜ」は後部甲板に着地した。ずううん……と、低い音が鳴り響く。
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