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透は溜息を吐きながら、奏に聞こえない程度の
小声で独り言をブツブツと呟いていたが、
彼の言った事が聞こえた
のか、睨みながら
その事を尋ねる。
すると透は言葉に詰まる。そして透は心の中で、
こいつ地獄耳か! と
思いながら奏を見つつ
驚嘆していた。
「さあ、言いなさいよ。
誰が鬱陶しいの?」
奏の表情は笑顔へと
変わるが、その心の中は
怒り心頭であった事
だろう。
ひどい事を言われて怒らない人は居ない。
当然、逆に泣く人も居るのだが……。
「それは……」
透は「お前……」と今度は彼女に
絶対聞こえない位の小声で答えたが、
彼女の耳には、それでも透の言葉が
聞こえたのだろう。彼女の額に一筋のアオスジが
浮かび上がっていた。
「……ふふふ。……鬱陶しくって……
悪かったわねー!!」
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